題1話 お兄ちゃん
小さなころから変な熱を出していた私。
母は慣れたもので、熱を出したらいつものように、アイスを食べさしてくれる。
そんな私がとても怖くてなんとなく不思議だった、今でも記憶に残っている話。
真夜中
いつもの様に熱を出し寝ていた私が、夜中に目を覚ましました。
薄暗く、怖い感じがし、天井をなんとなく見ていると、真っ黒い顔が・・・
『ニョキッ!』
ビクッ・・・・
固まって天井を見上げていると、黒い影が大きくなっていくのを感じ、目を閉じる事でしか固まっている私には出来ませんでした。
子供ながらに、なんとなくいけないものを見てしまったのではないかと言う恐怖と、錯覚だったのではないかと子供ながらに考えていた。
足元から光
ぎゅっと目を閉じていると、下の方が明るくなっているのを感じたんです。
あの感覚はどう説明したらいいんだろうか・・・不思議な感覚を感じたのを今でも覚えている。
目を開け足元を見ると、2つ上の兄が立っていて、
『お兄ちゃん!』
声を出して呼んだつもりだったが、声は出ておらず、心の中で叫んでいたと言った方が正解のような気がする。
『ニコッ』と笑顔の兄・・・
周りの黒い影が消えていきました。
良く見ると、兄より少し大きなお兄ちゃん?
ん?なんか違う・・・・
小さな子供の感覚なんで、不思議な感覚としか言いようがなかった。
朝
いつの間にか眠っていた私。
母親に、昨日の夜の事を話しました。
『真っ黒い影がニョキって出てきてね~、んで、お兄ちゃんが居てね~んで寝てた。』
黒い影が怖かったことを伝え、その後、お兄ちゃんだと思ったけどお兄ちゃんじゃなくって・・・と言った私に、母は
『おっきくなったら詳しく話すけど、あなたには、お兄ちゃんの上にもう一人お兄ちゃんがいたのよ。きっと、守りに来たくれたのね。』と
私に言ってくれました。
今思えば、小さな子供の夢みたいな話。
この時、母が私の不思議な感覚の話を信じてくれた事がうれしかったのを今でも覚えています。
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