第2話 誰かが抱き留めてくれた
近所の駄菓子屋さん。大好きだった。
毎日50円のお小遣いをもらっては、お菓子を買いに行っていた子供の頃。
私はいつもの様に、お小遣いを握りしめ走って行った。
宙を舞った私
家を出て大通りに出た時、目の前に駄菓子屋さん。安全確認もせずに道路を渡った。
その時!
『ドンッ』
私は、トラックにはねられてしまった。
クルクルと宙を舞い、ゆっくり周りの街並みが見えた。
『キャーッ』
駄菓子屋のおばちゃんが、慌てて出てきて、トラックからはオジサンが下りてきました。
オジサンに抱えられ、家に行くと母が真っ青な顔していた。
トラックのオジサンが母に一緒に病院に行きましょうと、私はオジサンのトラックに乗せられて病院に向かいました。
トラックの中で
意識がある私に、母は
『痛い所ないか?』と聞いてきたので、
『足』
ズボン越しに足を触った母が、言葉を失っている事にこの時、気付きました。
子供ながらに、話を変えようと窓越しの公園に、お兄ちゃんが見えたので、
『お兄ちゃん!』と言う私に、母は
『お兄ちゃんは学校に行ってるでしょ』と・・・
見えたことを伝えても車は走っているので、見えた場所を伝える事も出来ず、病院についてしまいました。
病院
先生たちが慌ただしく私を部屋に連れていくと、お気に入りのズボンを切った。
寝ころんでいた私は、看護婦さんに話しかけられて自分の足を見る事が出来なかった。
今思えば見せる事を避けたかったんだろうと思います。
この時は、2か月ほどだっただろうか?
ギブスも無事に取れ、治った事しか覚えていなかったんだけど・・・
後日談
後から母が私に教えてくれました。
足を触った時、グニュっと足が形をとどめていない感触があった事。
足のすねの所から骨が突き出ていて、綺麗に治るか分かりませんと言われていた事。
一週間、骨をもとの位置に戻して見て、子供の回復力を見てみましょうと言われ、
綺麗に引っ付く様子がなければ、手術しますと・・・
母は家に帰る前に、私がトラックにはねられたのに、他に傷がなかった事が不思議で、私に聞いたそうです。
すると、地面に落ちる前に誰かが抱っこしてくれて、地面に置いてくれたから、トラックが当たった左側しか痛くなかった。
すぐにオジサンが、抱っこしてお母さんとこ行ったしと言われた母は、この時、この子はホントに不思議な事起きる子だと思ったそうです。
足も綺麗に治って、普通に生活していますが、今でも骨が突き破って出てきていた所には傷跡があります。
私がトラックから見えたお兄ちゃんは、私の錯覚だったのかもしれませんが、
あの時は、お兄ちゃんのお兄ちゃんがまた来てくれたと思っていた事は、母には言いませんでした。
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